1.UXとは
UXとは「User Experience」の略称です。「User」はユーザー(利用者)、「Experience」は経験を意味します。つまり「ユーザーが製品・サービスを通して得られる体験」を指します。前述の体験やユーザーの知覚・反応をより良いものにしていく取り組みがUXデザインです。
ちなみに、国際標準化機構(ISO)では「製品、システムまたはサービスの使用及び/または使用を想定したことにより生じる個人の知覚及び反応」と定義されています(ISO9241-210)。
このように国際的にもUXは認知されています。
2.UXの歴史
UXがどのような背景や歴史から生まれてきたのかを紹介したいと思います。
技術中心から人間中心へ
産業革命以降、大量生産・大量消費の時代となり、生産上の効率やコスト・高機能であることが重視されていきました。
しかし、それにより生産する人と消費する人の間で製品を使うイメージにギャップが生まれてしまいました。また、嗜好の多様化や製品やその製品が有する機能の複雑化により、想定されるユーザー像を思い浮かべるのが難しくなりました。
更に、人間が製品に触れる際に、操作の誤りや誤認などのヒューマンエラーが起きることから、製品の安全性や信頼性の向上のためにも人間に合わせたものづくりが求められるようになりました。
そこで人間中心デザインという考え方が生まれました。人間中心デザインとは、ユーザー(利用者)を中心に製品やサービスをデザインをする考え方を指します。
この考え方はユーザーにストレスなく満足度の高い製品やサービスを提供することが目的です。人間中心デザインを考える上でユーザビリティという言葉がとても重要になります。
ユーザビリティとは使いやすさを表します。ユーザビリティの高い製品やサービスはユーザーの目標達成を確実に効率よく行うことができ、それが満足度に繋がると考えられてきました。
人間中心からUXへ
上記の人間中心デザインはユーザビリティを向上させることを目的としていましたが、ユーザビリティが高い水準に達したとしてもユーザーの体験が良いものであるとは限らない、ということがわかってきました。
そこでUXデザインという考え方が生まれます。UXデザインはユーザーに良質な体験を与えることを目的としています。
その体験はユーザーが製品やサービスを利用している時だけではなく、利用前・利用後の体験までを含みます。製品やサービスに関わるすべての体験のデザインがUXデザインの領域であり、ユーザビリティの領域よりもとても大きなものです。
UXデザインを実践することで、高いユーザビリティを与えるだけでなく、ユーザーに付加価値(ブランドイメージ・愛着など)を与えることができます。
3.より良いUXを生み出すために
ではより良いUXを生み出すための手法を一部簡単に紹介します。詳しくは今後のレッスンで説明します。
ユーザーインタビュー
製品やサービスを利用しているユーザーに対し質問して意見を聞き取る方法です。聞き取った意見を分析して改善に活かします。
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カスタマージャーニーマップ
ユーザーが製品やサービスに接する工程を時系列に並べ、その時々で発生する思考や感情をまとめたものです。カスタマージャーニーマップを作成することで、ユーザーの行動の全体像を把握でき、新たな発見に繋がります。
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プロトタイピング
プロトタイピングは製品やサービスの試作品(プロトタイプ)を作成し、想定されるユーザーへの検証や改善を行うことを指します。
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ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、製品やサービスを想定されるユーザーに使ってもらい、製品やサービスの評価を行うことを指します。ユーザビリティテストを行うことで、ユーザビリティ上の問題点を把握し改善に活かすことができます。
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4.まとめ
このレッスンではUXの意味や歴史、そしてUXデザインで用いられる手法について説明しました。次のレッスンではUIとUXの違いについて紹介します。