1.UXデザインのプロセスとは
UXデザインのプロセスとは、UXデザインを実現し、より良い製品やサービスを生み出すためのプロセスです。
UXデザインのプロセスは以下のような図で表すことができます。このレッスンでは、「①目的設定」と「②調査・分析」について説明します。
図:UXデザインのプロセス
2.目的設定
まずUXデザインを行うことで達成したい目的(ゴール)を設定します。目的を設定することでチームメンバーに共通認識が生まれ、逸れることなく目的に向かってプロジェクトを進めることができます。
3.調査・分析
目的設定が完了し、次は調査・分析のフェーズになります。
- 製品やサービスを使う対象のユーザーがどのようにそれらを利用しているか
- 新規製品や新規サービスの場合、想定されるユーザーの欲求や価値
上記の事柄を把握する調査を行い、その結果をもとに分析を行います。
4.調査手法とその具体例
調査の方法には大きく2つの種類があります。
定性調査:ユーザーの発話や行動などの数では表現できない情報を分析し、ユーザーのニーズを発見する
次の章では定量・定性調査の具体的な手法について紹介します。
アンケート調査
利用しているユーザー、または想定されるユーザーに対し、用意した設問に答えてもらう定量調査になります。予め、定義した仮説が検証できる質問設計を行う必要があります。
アクセスログ
GoogleアナリティクスなどのWebサイトの訪問データをもとに分析する定量調査になります。アクセスログでいつ・どこで・どんなことをユーザーが行っているのかがわかります。事前に仮説を用意し、それを検証するためにはどんなデータが必要でどんな分析が必要かを定めておく必要があります。
ユーザーインタビュー
利用しているユーザー、または想定されるユーザーに対し、対面やオンラインなどで直接意見を聞き取る定性調査の一種です。ユーザーインタビューを行うことにより、ユーザーの課題や潜在的なニーズを特定することができます。
エスノグラフィ
エスノグラフィとは実際に製品やサービスを利用する現場を訪れ、どのように利用されているのか、一緒に経験しユーザー体験を把握する定性調査です。エスノグラフィはもともと文化人類学や社会学の用語です。
5.分析手法とその具体例
次に調査で得られた結果を分析するための手法について一部紹介します。
ペルソナ法
ペルソナ法は製品やサービスを使う典型的なユーザーを描く手法です。ユーザーインタビューなどにより得られた定性データから仮想のユーザー像を作成します。ペルソナを作ることで、対象ユーザー像を理解することにつながります。それによりユーザーが抱える課題や潜在的なニーズを把握することができます。
また、プロジェクト内でペルソナを共有することにより、ユーザー像を共有でき、共通認識が生まれます。対象ユーザーのイメージがぶれることなく、製品やサービスを作るための指標となります。
KA法
KA法はユーザーインタビューなどで得られた定性データからユーザーが潜在的なニーズや価値を導くための手法です。定性データから特徴的な出来事を抽出し、その出来事にあるユーザーの声や感情、心の声に基づいた価値を導きます。
参考文献:KA法を初心者が理解・実践するための研究(PDF)
シナリオ法
シナリオ法はユーザーが製品やサービスをいつどこでどんなふうに利用し目的を達成するかをシナリオとして記述する手法です。ユーザーインタビューで得られた定性データをもとに作成されます。また前述のペルソナと組み合わせて作成されることがあります。
6.まとめ
今回はUXデザインのプロセスの中の「目的設定」「調査」「分析」についてフォーカスを当てて紹介しました。
次のフェーズである「設計」については次のレッスンで紹介します。