UI/UXデザイン入門

3-1. 利用文脈

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このレッスンでは利用文脈とは何か、利用文脈を考える重要性について学びます。

公開日:2021/10/18最終更新日:2021/10/18

1.利用文脈とは

利用文脈は製品やサービスに触れる目的や環境、状況を指します。

利用状況やコンテクストと呼ばれることもあります。

ISO 9241-11と呼ばれる国際規格では「ユーザー、タスク、設備(ハードウェア、ソフトウェアおよび資材)、それに製品が利用されている物理的・社会的環境」と定義されています。

2.利用文脈の重要性

UXデザインを行う上で利用文脈を理解することはとても重要です。

ユーザーは何かしらの背景や理由があって製品やサービスを利用します。その背景や理由を知り、それらを考慮したデザインを行うことで、ユーザーに寄り添った製品やサービスを提供することができます。
最終的には製品やサービスの使い勝手(ユーザビリティ)に影響を与えます。そのため、利用文脈を把握することは重要となります。


図:使用性の枠組み JIS Z 9521(ISO 9241-11)を参考に作成

3.文脈効果

ここで「文脈効果」という言葉を紹介します。

文脈効果とは前後の状況の影響を受け、対象の認識が変化する現象を指します。

下の画像を見てみましょう。

画像の文字はどのように読めるでしょうか。「THE CAT」と読めるかと思います。
しかし、この文字をよく見てみると、THEの「H」とCATの「A」は同じ形をしています。前後の文字の並びから、2文字目は「H」、5文字目は「A」と認識しているのです。

このように、人間は周りの環境や状況をもとに、様々な意味や解釈を持つ事柄から特定の意味や解釈を見出し、素早く事柄を理解することができます。

このような特性を意識することはUXデザインをする上で重要と言えるでしょう。

4.利用文脈を把握する手法

利用文脈を把握する手法としていくつか簡単に紹介します。

ユーザーインタビュー

対象となる製品やサービスを利用するユーザー、または想定しているユーザーにインタビューすることです。ユーザに対して質問し、その回答から深堀りし、また質問することで利用文脈を把握する手法です。

ダイアリー法

ダイアリー法はユーザーに製品やサービスを長期的に利用してもらい、使用しての感想や行動の記録を書いてもらう手法です。文字の情報だけでなく、使用しているときの写真も加えたフォトダイアリーと呼ばれる手法もあります。

エスノグラフィ

エスノグラフィとは実際に製品やサービスを利用する現場を訪れ、どのように利用されているのか、一緒に経験し利用文脈を把握する調査です。エスノグラフィはもともと文化人類学や社会学の用語です。

5.利用文脈を表現する手法

「4.利用文脈を把握する手法」で得られた結果から利用文脈を表現する手法を一部紹介します。

ペルソナ

ペルソナとは製品やサービスの典型的なユーザー像のことを指します。
ペルソナを定義するにあたり、その人の基本情報(名前、年齢、家族構成など)の他に製品やサービスを利用する背景や状況、モチベーションや思考などの具体的な利用文脈も設定します。

構造化シナリオ法

構造化シナリオ法は製品やサービスを利用している物語を考える手法です。構造化シナリオ法には大きく

  • バリューシナリオ(体験価値を物語化する)
  • アクティビティシナリオ(ユーザーの活動を物語化する)
  • インタラクションシナリオ(操作を物語化する)

の3種類があり、特にアクティビティシナリオにおいて利用文脈が活躍します。

ジャーニーマップ

ジャーニーマップはユーザーと製品・サービスの関わりを時間軸で表したものです。ユーザーの感情・行動・思考の動きを時間軸で示せることから利用文脈を表現することができます。また、製品やサービスの関わりとユーザーの感情・行動・思考とのリンクが可視化されるため、求められる・改善すべきユーザー体験の発見に繋がります。

 

6.まとめ

UXデザインにおいて、利用文脈を把握することの重要性と把握するための手法について学びました。製品やサービスを設計する時に、まずは利用文脈を把握し、そこから必要な機能やUIを考えてみましょう。

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