1.フリーランスのデザイナーとして開業!最初に必要な手続きは?
Q. 個人事業主として開業するにあたり、最初にするべきことは何ですか?
フリーランスを本業として食べていくのを決めたら、3月15日までに開業届と青色申告承認申請書を提出してください。 また、青色申告などの届出に必要な情報を把握しましょう。無駄な税金を払わないようにするには、知識も大切です!
Q. 開業届の出し方を教えてください。
まずは、国税庁のHPから「開業届」と「青色申告承認申請書」の書類をダウンロードしましょう。
開業届には、提出用と控え用の2部それぞれに住所や開業日などを記載し、印鑑を押します。 書類の準備ができたら、納税地の税務署に郵送するか、もしくは税務署に直接持って行きまよう。
Q.開業後の確定申告の流れを教えてください。
ざっくりいうと、開業届と青色申告を提出→収支を計算→確定申告記載→税務署提出→納税という流れになります。 開業届と青色申告承認申請書を提出したら、売上や経費をもとに収支を集計。確定申告時に、その情報を記載して税務署に提出しましょう。
2.副業デザイナーが注意すべきことは?
Q. 20万円以下は確定申告しなくても問題ありませんか?
給与所得が1カ所のみで、副業の「所得(収入から経費を差し引いた金額)」が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
Q. 確定申告をしなくてもいい副業のライン「20万円以内」で確定申告する・しないメリットを教えてください。
副業を20万以下に収めている人が確定申告をするメリットは「税金が還付されること」です。というのも、デザイナーの報酬は、クライアントから支払われる際に「源泉徴収(税金の天引き)」をされて入金されるためです。 なかには、20万円以内の場合だと還付金額がそれほど多くないため、手間とコストを天秤にかけて確定申告はしない、という方もいます。
Q. 副業で必要な手続きのタイミングと内容を教えてください。
小遣い稼ぎ等(所得税法上事業的規模とならない)の副業の場合は、税務署に開業届などを提出する必要はありません。 1月〜12月の売上・経費をもとに収支を計算し、翌年2月16日〜3月15日までに確定申告(白色申告)をしましょう。
Q. フリーランスだけでなく、業務委託やパート・アルバイトで働くときに注意すべきことはありますか?
業務委託やアルバイトよりも、フリーランスで得る収入の規模が多くなるように調整することをおすすめします。 青色申告などでは、どちらが生活基盤の収入になっているかで控除額(65万 or 10万)を受けれなくなる可能性があるからです。を65万 or 10万と大きく異なってくるためです。
Q. いまの会社に勤務しながら副業をする際の注意点を教えてください。
まずは自身で会社の就業規則を確認してください。副業禁止が規定されているにもかかわらず、どうしても副業したいなら、解雇覚悟で臨みましょう!(お勧めはしません) また今後、副業をメインの収入としていく場合には「開業届」「青色申告承認申請書」などの届け出を忘れずに。メインの収入としてない場合には、確定申告時期までに収支を計算して、白色申告を行いましょう。
Q. 現在は正社員ですが、今後は副業を増やしたいと考えています。開業のタイミングはいつがベストでしょうか?
開業判断には「副業の年収」といった基準はなく、それがメインの収入となるかどうかや、毎月定期的におこなっているか、多くの時間を割いているが判断のポイントになります。 給与と副業(フリーランスの事業)の収入バランスを見て、副業の収入が給与を超えるようであれば、開業になります。 または、ご自身の生活費が賄えるようになったタイミングを基準するのもいいと思います!
3.経費はどこまでOK?確定申告のポイント
Q. 確定申告で提出する必要書類を教えてください。
基本的に、「確定申告書」と「青色申告書(収支内訳書)」が必要です。 請求書や領収書は自宅で保存します。税務署に提出する必要はありません。
Q. 白色申告と青色申告の違いはなんですか?
そもそも青色申告は、特定の期限までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出してはじめて採用されます。 青色申告は、白色と違って帳簿をしっかり記載する必要がありますが、その分65万円の概算経費控除があり、親族へ給与を支払えるなど、税金関連でさまざまな恩恵を受けることができます。 一方、白色申告の場合は、青色申告決算書が「収支内訳書」というものに変わります。損益のみを集計すればOKなので、青色申告よりも簡単です。
Q. 副業で青色申告を出すにはどうすればいいですか?
副業(小遣い稼ぎ等)であれば、青色申告はできません。収支を計算して、確定申告書のA様式を提出しましょう!
Q. 確定申告は郵送でできますか?
もちろん郵送はOKです。ただ、もし令和2年分以後の青色申告を考えているのであれば、電子申告によって控除額が55万から65万円に増えるという節税の恩恵を受けられることもあります。ぜひご検討ください。
Q. 確定申告のために毎月すべきことを教えてください。
確定申告の時期に、1年分の売上と経費を集計するのは大変です……。売上と経費は、毎月帳簿につけることをおすすめします。
Q. 経費について、認められる・認められないの線引きを教えてください。
収入を得るために必要かどうかが、経費の線引きのポイントです。 「フリーランスの事業のために使った」と説明できるものは経費です。基本的に売上に紐づくものであればOKで、プライベートに関するものはNGと考えてください。 例えば、クライアントとトライアスロンに出るために自転車を購入したとします。今後、その自転車を私用で使わないのであれば経費にできますが、そうでない場合はNGです! なお、交際費は「誰」と「何人と」をメモしておかないと弾かれるので、気をつけましょう。
Q. 水道代・光熱費・家賃などは、どのくらいの割合で経費計上すれば良いのでしょうか?
自宅の全体のうち、事業に使用しているスペースの割合で考えます。自宅の間取り(〜平方メートル)のうち、作業スペースが占める割合をかけて計上するのが一般的です。
Q. 飲み会やランチは経費になりますか?
事業のための経費かどうかが判断基準になるので、ミーテングでの食事はOKです! ただし、経費で落とすためには領収書と帳簿に、誰と打ち合わせをしたのかを記載する必要があります。
Q. 事業のためのお金とプライベートとのお金を切り分るコツはありますか?
クレジットカードを事業用・プライベート用で使い分けるなどの工夫してみてください!
Q. スキルアップのための研修や教材費を、どの項目で計上するか悩みます。「前年度と同じならいい」と言われたのですが、そんなもので良いのでしょうか?
そんなものでOKです!経費の項目にあまり決まりはありません。
Q. 請求書などのやりとりがない場合、どのように帳簿管理したら良いですか?
源泉徴収されているのであれば、翌年1〜2月頃に会社から支払調書が届きます。そこに記載された金額をもって帳簿に入力しましょう。 もし支払い調書がない場合は、口座の入金を確認して、入金金額でもって帳簿に計上してください。
Q. クラウドソーシングで得た収入を、帳簿に記載するときの注意点を教えてください。
業務内容によっては、源泉徴収をされている可能性があります。源泉徴収されているのであれば、売上と入金は一致しません。帳簿には、自身が請求されている請求額を売上として記載してください。
4.そのほか節税・税金等に関する疑問に回答!
Q. 一般的なサラリーマンができる節税対策を教えてください。
「ふるさと納税」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をすることで節税対策になります。 住宅ローン控除や医療費控除などを受けるために、住宅を購入したり、医療費や医薬品の領収書を集めておくのも良いかと思います。
Q. 会社員とフリーランスで、節税に違いはありますか?
会社員の場合は、収入に応じて給与の65〜230万を概算経費として控除することができます。しかし、領収書などの経費の控除はできません。 一方で、フリーランスの場合は青色申告を要件に10万 or 65万の控除があり、さらに領収書などの経費を控除することが可能です。
Q. 消費税のインボイス制度導入にあたり、どう向き合えば良いのでしょうか?
ご存じの方も多いと思いますが、2023年10月から「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)が導入されます。税務署長に申請して登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)が交付する「適格請求書」等の保存が仕入税額控除の要件となります。 税金に関係なく、「いい人といい仕事をしていくことが一番」と考えて向き合っていくことが大事かと思います。 税務が複雑になってこちらも困りますし、日本全体の景気も悪化すると思うので、個人的には辞めてほしいと思っていますが……
Q. 税金対策・収支管理をしっかり安定的におこないたいのですが、ライトなサービスはありますか?
手頃なのは、確定申告時期に税務署などでおこなっている「無料相談会」に足を運ぶことだと思います。税理士に頼むのもいいですが、その場合にはお金がかかってしまいます。freeeのような経費管理ツールを使うのもおすすめです。
Q. お金にまつわることを考えることが苦手で、自分で確定申告するのが不安です……。
同じような悩みを持つ方はたくさんいらっしゃいます。 そういう方にとって、確定申告を自分でするのか税理士さんに依頼するのか、悩むポイントになるかと思います。 お金、時間、労力を考えたうえで、自分でやるのか外注するのかを判断することをおすすめします。
5.まとめ
フリーランスへの転身を検討中のデザイナーはもちろん、副業を考えている人にとっても必要不可欠な開業や税金の知識。 確定申告の手続きや必要書類、経費のポイントなどを知ることが、開業や副業への第一歩です。 ぜひ今回のQ&Aも参考にして正しい知識を身につけて、自分らしい働き方を目指してください!
編集:大井あゆみ(Edit)
ライター:市川茜